啓蟄(けいちつ)

~3月5日から3月19日~

「啓」は「ひらく」。「蟄」は「こもる」。「啓蟄」は漢字のとおり、今まで凍てついた土中が、解けて温んで啓き、こもっていた虫たちも、動き始める時季です。「虫」は昆虫だけでなく、蛙、トカゲ、蛇なども。生きものが目覚め、再び動き始め、いよいよ春の実感が増してきます。


 蟄虫啓戸(すごもりむしとをひらく)
 桃始笑(ももはじめてさく)
 菜虫化蝶(なむしちょうとなる)

奈良町にぎわいの家・オリジナル二十四節気短歌

・啓蟄の歌

ふくふくと啓蟄の畑耕されはじめて土踏むをさなごの足

喜夛隆子(歌人・ヤママユ編集委員)

虫も目覚める啓蟄、やわらかにふくふくと耕される土、その土を踏む幼児。子どもは歩き始めたばかり。そんな子どもが、初めて、土の上に立ち、踏むという、いのちの輝きにあふれたお歌。啓蟄という目覚めの季節の土の生命力に、幼子(をさなご)の成長が重なる、「いのち」を言祝ぐ素晴らしいお歌です。