立夏 (りっか)
~5月5日から5月19日~
木々の緑が美しい、暦の上での夏。田に水がはられ、蛙が鳴き、心地よい風に夏の気配を感じる季節
・初候 蛙始鳴(かわずはじめてなく)
・次候 蚯蚓出(みみずいずる)
・末候 竹笋生(たけのこしょうず)
奈良町にぎわいの家・オリジナル二十四節気短歌
・立夏の歌
さみどりの斜面かぐはし一番茶摘みゆく人に立夏のひかり 喜夛隆子(歌人・ヤママユ)
奈良は大和茶の産地。唱歌「茶摘み」で、「夏も近づく八十八夜…」と歌われるように、八十八夜を過ぎ、季節はまさに茶摘みのころ。早緑の斜面、茶畑に新茶を摘む人の姿は、奈良の風物詩の一つです。その茶摘みの人たちが、立夏の初々しい夏の光のもとで作業をしている。五月の早緑と光、そこにお茶のにおいも感じられる、視覚、嗅覚が自然の中であらためて甦っていく、五感に優れたお歌です。
喜夛隆子 歌人。ヤママユ所属。吉野出身の日本を代表する歌人、故、前登志夫の歌弟子としてその実力には定評がある。歌集に『国原の地図』他。最新歌集『柿の消えた空』(角川書店)には、奈良町にぎわいの家のために作った節気短歌、24首も所収。民俗も研究し著作に『フォークロアの畦道』などがある。