初候 雷乃収声(らいすなわちこえをおさむ)
次候 蟄虫坏戸(ちっちゅうこをはいす)
末候 水始涸(みずはじめてかる)
・秋分の歌
逝きし人とことば交はして行く道の畦にひとすぢ彼岸花炎ゆ 喜夛隆子(歌人・ヤママユ編集委員)
亡くなった人に語りかける。言葉をおくれば、いない人もまた答えてくれるような、そんな気持ちで田んぼの畦道を歩いている。畦にはひとすじの彼岸花。亡くなった人の命の形のように、もえている、秋分のころ。実際には答えてくれない声に、語りかける時間のはるけさと、彼岸花の真っ赤な生命力。此岸と彼岸をつなぐ、鮮やかなお歌です。