雪も雨に変わるころ。氷も溶けて、雪の下の土が顔を出します。昔から、農耕の準備は、この「雨水」を目安に始めたそうです。まだ寒い日が続きますが、三寒四温を繰り返しながら、春へと向かっていきます。

・初候 土脉潤起(つちのしょううるおいおこる)
・次候 霞始靆 (かすみはじめてたなびく)
・末候 草木萠動(そうもくめばえいずる)

山際のそら夕茜いつしかに霙(みぞれ)は雨に雨もあがりて 喜夛隆子(歌人・ヤママユ編集委員)

山に沈む夕日、山と空の間が茜色に染まっている。寒さで茜色がきわだつ夕空。いつしか、霙(みぞれ)は雨になり、そのうちに、雨もあがっていった…。
少しずつ春へと向かう「雨水」の気配。「雨」の繰り返しが、少しずつ温くなる空気感を見事にあらわしています。結句を晴れやかに声にしたいお歌です。 

喜夛隆子 歌人。ヤママユ所属。吉野出身の日本を代表する歌人、故、前登志夫の歌弟子としてその実力には定評がある。歌集に『国原の地図』他。最新歌集『柿の消えた空』(角川書店)には、奈良町にぎわいの家のために作った節気短歌、24首も所収。民俗も研究し著作に『フォークロアの畦道』などがある。